新空位時代における対抗ヘゲモニーの創出に向けて
更新日:7 時間前

● 2026年12月12日(土) 午後2時~午後5時
● 高槻市立生涯学習センター 第2会議室
● 報告 後藤 元(ルネサンス研究所・関西研究会運営委員)
● Zoomによるオンライン参加が可能です。希望される方は下記のメールアドレス宛に、住所・氏名、「12月定例研究会参加希望」とお書き添えの上、お申し込みください。
オンライン参加申込先 yougattamove@gmail.com(茂木)
●資料代 500円
70年代以降、金融資本のヘゲモニーにより新自由主義諸政策を通じた上からの反革命-組織労働者と資源ナショナリズムへの反撃-が開始され、経済のグローバル化、金融化、生産の非物質化、ワシントン・コンセンサス-構造調整政策-WTO・IMF・世界銀行を通じた第三世界の搾取・収奪体制の強化、が進行した。1980年代末からのソ連型社会主義体制と世界的な社会主義運動ヘゲモニーの最終的崩壊は、この過程に拍車をかけた。弱小国家は主権を失い、労働者・農民・マイノリティはむき出しの搾取・収奪にさらされ、米国・EU・日本といった帝国主義諸国においても、労働者の非正規化と流動化、低賃金化、債務奴隷化が進行し、貧富の格差が世界中で深化・拡大した。
こうした金融資本=新自由主義的ヘゲモニーの50年を経て、社会の分断・対立は拡大・深化した。グローバル/ナショナル、協調主義/一国主義、リベラル(自由・平等・人権・共生など)/権威主義・排外主義・差別主義、エリート/大衆、普遍主義/選別主義・・・・・・。その中で、第二次大戦後のパクスアメリカーナ体制の元、帝国主義諸国において曲がりなりにも共有され支配的理念となってきた「自由・民主主義・人権・法の支配・自由貿易」といった「普遍的価値」としてのリベラルイデオロギーが、当の帝国主義諸国内においてヘゲモニーを失い始めている。90年代以降帝国主義諸国で主流となった市場原理と行政監督の融合としての「第三の道=中道主義」は、リベラルな価値観を継承しようとしながら、「社会的投資」(コンクリートから人へ)やワークフェア(リスキリング)など、就労や教育といった社会問題を市場原理を通じて解決することをめざしたが、社会の分断を一層深め、社会統合の理念としてのリベラルイデオロギーに対する批判勢力を増大させる結果となった。自国第一主義やナショナリズム、反エリート主義、排外主義などを訴える右派ポピュリズムが大きく政治勢力化した一方、反グローバリズム、反緊縮、反人種差別、反移民排斥などの諸運動の拡大と並んで新たな社会主義を求める運動が台頭している。
「危機の本質はまさに、古いものが死にゆく一方で、新しいものが生まれることができないという事実にある。この空位時代(インターレグナム)には、きわめて多様な病的現象が現れる」(グラムシ)。右派ポピュリストの勢力拡大はまさにグラムシの指摘する「病的現象」であり、半世紀にわたる新自由主義ヘゲモニーが創り出した新たな「空位時代」の病である。それが病に過ぎないのは、資本がグローバルに展開しているにも関わらずナショナルな利害を優先させるという政治的立場が、資本主義を前提とする限り、社会の分断状況を止揚しうる政治的ヘゲモニーたりえず、新たな支配的秩序とはなりえないからである。が、だからと言って放置することも無論できない。この病は、かつてと同様、大規模な犠牲と悲惨を生み出しかねないからである。
右派ポピュリストと闘うための拠って立つべき基盤を何に求めるのかが問われている。戦後的なリベラルな政治理念・イデオロギーに後戻りすることはできない。それらの理念や価値が欺瞞にみちているものであることが、既に、とりわけ搾取され差別され抑圧されてきた人たちの闘いによって暴露されているからだ。が、それらの理念や価値と全く途絶した所から出発することもできない。新たな政治を創り出すのは、それらの理念や価値にまみれながら、それらとポジティブにもネガティブにも格闘しながら生き抜いてきた人たちだからだ。我々は、資本主義が生み出したものに依拠しながら、それを換骨奪胎する作業を続けることで新しいものを生み出す他はない。そして、それらは既に世界中の人々によって生み出され、我々の目の前に提出されているものである。それらに依拠しながら、労働者や被抑圧者が自らを解放するための、新たな対抗的階級ブロックの形成に向けたヘゲモニー戦略をどう構想するかについて、皆さんと共に考えたい。


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