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ヘゲモニー闘争への帰還 ラクラウからランシエールへ

2019年6月29日
読了時間: 1分

更新日:2022年7月4日

斎藤隆雄(ルネサンス研究所・関西研究会運営委員)


 ラクラウのヘゲモニー論の要である概念として本書でしばしば用いられるのが、敵対と節合である。敵対とは、社会(ラクラウに言わせれば、社会というものはないのだが)に生まれる様々な紛争や対立のことであり、これは人類が生存する限り生まれるものであって、敵対が無くなる時は政治もなくなる時であるとする。この敵対は、いわゆる従来の階級的な敵対ばかりではなく、様々な差異によって生まれるのであって、当然経済的利害ばかりではなくイデオロギー的なものこそその中心となる。それをアイデンティティと呼び、アイデンティティ相互を結びつけ一つのものに節合させて生まれるのが「空虚なシニフィアン」と名付けられたものであって、それはポピュリズムにおける「人民」概念である。このように諸要求に見られる部分を節合することを「ヘゲモニー」と呼び、左派の政治の主要な任務とするのである。



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