椿 邦彦(ルネサンス研究所・関西研究会運営委員)
橋本健二の『新・日本の階級社会』(講談社現代新書 2018)および『アンダークラス―
新たな下層階級の出現』(ちくま新書 2018)によって、アンダークラスと定義された新た
な下層階級が注目を集めている。本報告では、アンダークラスが日本社会に出現した背景
を考察し、今後の社会運動の展開にとってどのような意味をもっているのかを探っていき
たい。アンダークラスが注目される理由のひとつに、「彼らこそ現代のプロレタリアート
であり、新たな変革の主体である」という期待があると思われる。これについても報告者
の意見を明らかするつもりである。
「革命/変革の主体としての階級」を考えるとき、そのときどきの資本主義の矛盾がど
の階級あるいは階層に集中しているのかに注目し、特定の階級あるいは階層を社会革命あ
るいは社会変革をになう主体とみなして戦略を組み立て、それに応じた戦術を行使すると
いうやり方が一般的ではないかと思われる。この報告ではこうした通常の手続きが妥当な
のかどうかについて検討してみたい。
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