茂木 康(ルネサンス研究所・関西研究会運営委員)
「ボルシェヴィキ革命は、わたくしの考えでは、フランス革命以降で最も重要な政治的事件であった。というのは、それは1789年いらい初めて、何百万かあるいはおそらく何十億の人びとにとって、貪欲という規範よりむしろ平等という規範に基づく社会への夢を現実化したからである」(ジョン・E・ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』)
その「夢」は今もまったく色あせていない。それは資本主義がその姿を変えながら、長期にわたって存続しようとも、「社会主義はいつでも可能である」という強力なメッセージを発し続けている。いま世界の若者たちの間で、社会主義を望む声が急速に広がっている。英労働党左派のジェレミー・コービン、民主社会主義者バーニー・サンダース、フランス左翼党のジャン・リュック・メランションらを支持する若者たちをかき立てているのは、姿を消して久しい社会主義体制への幻想ではない。それはとは反対に、若者たちはその主張と行動によって、紋切り型で抽象的な死んだ「社会主義像」から社会主義そのものを解放しようとしている。
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