マルクス主義と商品語 ― 資本主義の根底的批判のために ー

更新日:7月3日

崎山正毅(立命館大学教授)


 従来『資本論』第 1 巻をとりあつかう論者たちは、ごくわずかな者を除いて、エンゲルスが 1890年に刊行した第 4 版―いわゆる「現行版」―を対象としてきた。だが、現行版を第一義的(というよりも精確には、唯一無二の)テキストとする、資本主義批判のための理論的根拠はいかなるものなのか? そう問われた場合、現行版を主対象とする論者たちから十全な答えが返ってくることは、おそらくない。

 われわれはそこに、「版を重ねるにつれて内容が彫琢されたのである、なぜならば、初版からフランス語版、第 2 版へとマルクス自身による書き換えがあったからだ」という、資本主義批判の規定を欠いた、ある種の「信条」が存在すると考えている。そうした「信条」へのみごとな反証として、1879 年~80 年にマルクスが叙述した「アードルフ・ヴァーグナー著『経済学教科書』への傍註」を読むべきである。この『傍註』において、マルクスはヴァーグナーの叙述を徹底的に叩きのめしている。そして、その批判対象の核心こそは、マルクス自身によるドイツ語第 2 版での叙述であり、批判の起点は初版の冒頭商品論にある。短評ながら、このヴァーグナー「批判」の首尾一貫性と理論的統一性は明瞭である。つまり、マルクスは初版本文の視座に立って、自らの第 2 版の叙述を論難しているわけである。


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