榎原 均(ルネサンス研究所・関西研究会運営委員)
テレストリアルからのグレート・リセットというタイトルは、私が今年の 1 月になって発案したもので、今日の社会運動にとっての大きな旗印にしようというもくろみです。テレストリアルとは、ラトウールの造語で、『地球に降り立つ』(新評論、2019 年)で提起されたものです。
従来の力の働きは、グローバル化でそれによってローカルとグローバルの間の引力関係が形成されていたのですが、トランプのパリ協定離脱にヒントを得たとラトウールは述べています。トランプはローカルとグローバルという関係の外に第四の方向をめざしたわけですが、その反対方向に第三の引力を想定し、これをテレストリアルと命名したのです。
テレストリアルとは大地という意味で、ローカルやグローバル、さらにはトランプに飽き
足らない人々にとって、右も左も新しく集結する地点として設定されています。
グレート・リセットとは、ダボス会議の主張で、クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ
『グレート・リセット』(日経ナショナルジオグラフィック社、2020 年 10 月)にまとめられています。
私は昨年はラトウールの紹介にかかりきりでしたが、年が明けて労働者協同組合法が制定されたことで、これについて解説してほしいという要望があり、その報告の準備過程で今日の運動にとっては「テレストリアルからのグレート・リセット」が必要だと気付き以降このスローガンを掲げています。今回は、これまで私がいろいろな機会に報告してきた文書か
ら、初めてこのスローガンに接する人向けに解説します。
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