2024年2月24日
報告 斎藤隆雄(ルネサンス研究所・関西研究会 運営委員)
冷戦史への案内
斎藤 隆雄
冷戦についてのイメージはどのようなものであろうか。字の如く「冷たい戦争」として1945年から1991年まで米ソが対立した時代のことを示しているが、ウォーラステインが『知の不確実性』で述べたように、冷戦とは米ソが対峙したことそのものではなく、争奪した第三世界に与えた世界史的な変革であった。
久しい間、「国民国家」についてその凋落が囁かれていたが、最近、民族自決を旗印ににわかに「国民国家」が脚光を浴びている。果たして、それは21世紀のトピックとなるのだろうか。私はそれは大きな勘違いだと言いたい。冷戦の歴史を紐解けば、それが見えてくるのではないかと考え、今回、無謀にも戦後史を網羅的に展開しようと考えた。果たして、それが皆さんの期待に応えられるか否かは心許ないが、冷戦終結後30年が経ち、そろそろ振り返っても良い時期に来ているのではないかと考える。
主要に参照した文献はO.A.ウェスタッド『グローバル冷戦史』(2010年 名古屋大学出版会)です。
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