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イスラーム金融は資本主義のオルタナティブたりうるか

報告 崎山 正毅(立命館大学教授)


 今日の資本主義が利子生み資本形態をとって運動する厖大な架空資本であることに対する 直観的・即自的な理解と批判が、対象を金融資本主義として措定した種々の議論だといえる。 その端的な事例は、「強欲資本主義」「マネーの暴走」などといった倫理的かつ修辞的な 「批判」である。こうした議論の一切は、利子生み資本・架空資本という概念をもたないた め底の浅いものとしてしか登場しえない。それらの多くが、「現物経済」――現実資本の運 動を主とする「健全な資本主義」――を展望し、過去への「回帰」を夢想するのは、架空資 本の現実的運動から目を背けているからである。 そしてこれらの議論の一部は、欧米中心主義を脱して「グローバルな状況」を押さえよう とし、そのさいに「利子を禁止する金融」としてのイスラーム金融に想いを寄せるようにな っている(ムハンマド・バーキルッ=サドル、黒田壽郎・岩井聡訳『イスラーム経済論』、 未知谷、1993 年;同『無利子銀行論』、未知谷、1994 年)。では、イスラーム金融はいか なるものなのか?


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